
こんにちは!メガバス・スタッフの中澤です。
いよいよ年の瀬近くなり、今年も残り僅かとなりまして、シーバス・シーズンも(一般的には)最終盤な頃合でございますが、釣り場に立っておりますと、昨今の温暖化による海水温の上昇による影響でしょうか?ヒラスズキの生息域拡大に伴い、マルスズキに比べて産卵期の遅いヒラスズキが依然として散発的に浜に現れております。
思えば我がホーム富士川も、ここ数年すっかりマルスズキよりもヒラスズキが釣れるようになり、マルスズキとは違った性格を実釣で楽しみながら学んでいるのですが・・・
先日面白い出来事があったので、今日はその話を!
そもそもは半月ほど前に友人に起こった、深夜突然のバイトからの強烈ダッシュによるドラグ出っ放しの問答無用の3フック全伸ばしによる逃亡劇というのが始まりで・・・
それから数日後に私自身、夜明け前にバイト感触無しの突然のドラグ音からの、ラインを出されながら25lbリーダーを千切られるという完敗劇に遭遇。
とある潮位の極めて短いタイミングに現れる正体不明の魚・・・恐らくは大型のヒラスズキだとは思うのですが・・・非常に手強いのです。

そこで私が講じたのは・・・狙いの潮位タイミングを可能な限り人気の無い深夜の時間帯に合わせた潮周りで見繕うこと。
これは、これまでのバイト状況から魚側が明らかに「人気の無い状況」を好んで行動している感が感じられた事が最たる理由なのですが、それと同時に、バイト後に始まる強烈なファイトを考えると、周囲に釣り人のいない状況での戦いのほうが、コチラ側にも都合が良いという思惑もありました。
それから次に、当然ではありますが・・・リーダーを先日千切られた25lbより太くして30lbに強化。
そしてルアーに関しては、パワー負けする可能性の高いフックサイズの小さいルアーは問答無用で選択肢から除外した上で、結論的には(前回、リーダー破断の際に奪われた) KAGELOU 124F が実績・信頼共に十分であるのに加え、「実際にバイトを得ている♪」ということで、手持ちの カゲロウ 124F( PMホットシャッド )を選択。
こうして前回の完敗から1週間程・・・満を持して、深夜が狙いの潮位となる日にタイミングを合わせ釣行。
ポイント状況確認がてら夕刻に一度浜に立ち、軽くキャストを散らしながら様子を伺ったのですが・・・好都合に少し波っ気のある海況に、気持ちは既にざわつき始めておりました。

そうして、いよいよ其の日の深夜、狙い通りに人っ子一人居ない浜に改めて立ち、狙いのポジションで、狙いのタイミングを待ちます。
恐らく勝負は30分間程・・・科学的には根拠とは言えないような、ここ半月ほどの出来事から得た推論を妄信し、何の前触れも無く突然始まるであろう展開を覚悟に近い期待を抱きつつキャストに入りました。
そして其のファースト・キャスト。
目の前に横たわる流れを横切るように、ややアップクロスに カゲロウ124F を投げ入れ、聞き入るような、ゆっくりとしたリトリーブで水面直下を泳がせる。
そうして少々波に揉まれつつ暴れる KAGELOU 124F の挙動越しに、確実な流れの抵抗を感じつつ、いよいよ カゲロウ 124F がU字ターンの頂点に差しかかろうとしたタイミングでした。
「ジ・ジジ・・ジジジジジィィィーーーーー!!!」
何の衝撃も無いままに、突然ドラグが鳴り始め、問答無用でラインが引きずり出されていく!?
一投目にして始まった、先日と全く同じ展開に正直驚きましたが、覚悟はできている為、一段太くしたリーダーを信じつつロッドを立て、ゆったりとしたスイープなフッキングを一撃見舞う。
すると違和感を覚えた魚は一気に加速し始め、流芯の流れに乗って沖へと猛ダッシュを開始!!
人気の無い浜、メインラインのキャパは十分、何処ぞに擦れる危険性もなく、万全の態勢のはずなのですが・・・前回突如リーダーを千切られた嫌な感触が付きまとうと共に、今まさにロッドに伝わってくる異常な重量感が明らかに不安を煽ってくる。
「焦らず、無理せず、耐えていればいい・・・。暴れるにしても大型過ぎて跳ねられず、せいぜい水面でのヘッドシャイク程度しかできないはず。」と己に言い聞かせつつ、
時折伝わってくる、水中でバットを振り回すかのような勢いのヘッドシェイクの衝撃にビビリながら耐えていた所・・・流れの中で急速に魚が浮上する感触がライン越しに伝わり、
次の瞬間、暗闇の中で沖の灰色の海面が白く割れ、エラ洗いしながら体全体を晒してジャンプする黒いシルエットの魚体が見え、思わず凝視する。
「跳ねる!?」と想定を超える抵抗に驚愕しつつ、とりあえずフックアウトしなかった事には感謝しつつ、「もしかして予想よりも魚体は小さいのか?」と少し疑心暗鬼にもなりながら、「とりあえずフックセットは良好なのでは?」と安直に期待するも・・・
程なく2回目の重々しく強烈なヘッドシェイク・ジャンプを見舞われた所で、改めてそんな手軽なサイズではないことを痛感・・・。そこからは、ただただフックアウトしない事を祈りながら、ラインテンションの維持に努め、ひたすら無理をせずに耐え続ける持久戦。

少し荒れた海も手伝ってくれて、徐々に魚は波に揉まれながら浜に近づき、最後の波打ち際での抵抗も焦ることなく、しっかりと弱らせ凌いだ所で、タイミングを見計らい大波に乗せて、一気に浜に座礁させランディング!!
こうして深夜の浜に打ちあがったのは、「やはり!」という予想をはるかに超えた、体高のあるボディをパンパンに張らせたランカーヒラスズキでした!
しばし立派な魚体に見惚れていましたが、先日同様の「ノー感じバイト」が気になり、ルアーのフックセット状況を確認しようと、魚の口元付近にあるはずの チャートバックの カゲロウ124F を探しますが何故か見当たらず。
「どゆこと?」と、しっかりとヘッドライトで照らして見れば・・・

嗚呼・・・何と言うことでしょう!?
我が カゲロウ124F は頭からスッポリと丸呑みされておりました・・・。
そこで・・・ふと思うのです。
前回、そして今回の「アタリのでない」突然のドラグスタート、前回の25lbリーダーのスナップ付近での破断・・・
一瞬でルアーを丸吞みされるが故にアタリらしい感触が一切生じず、
前回は丸呑みされたことで運悪くリーダーが魚の歯にあたり、結果ルアー付近の位置で切断されていたのではないかと・・・
勿論確証は一切ありません。証明もできない。
私自身、前回の魚と今回の魚が同一だとは思えないし、実際違う魚だと思う。
でも不思議と納得はできる。
恐らく同様のサイズのヒラスズキが居て、同じように「 KAGELOU 124F を丸吞みバイトした」という展開だったのだろうと・・・
科学的では全然無いのに、私には其処に推測を超える確信が感じられている。

本人的には「狙った」つもりなのですが、こうやって文章を書きながら客観的に見てみれば、自分でも「よく起こったな・・・」と思える出来事。
相手は自然界に暮らしている生き物であり、その日、その時間、その場所に現れる保証など一切無く、魚のサイズが違うことなど大いにあり得るだろうし、「たまたま」その日は一切魚が現れなくても、なんら仕方のないことのはず・・・。
そう考えれば「たまたま運が良かっただけの偶然」と捉えた方が、やっぱり正確なんじゃないかとも思う。
しかし、継続して釣り場に立ち、魚との対話を繰り返していると、根拠は無いけど偶然とは思えない「確かな手ごたえ」を伴った出来事に時折出会うのです。
自然に暮らす生き物相手に「正解」は無いのだけれども、積み重ねながら、おぼろげにも一歩ずつ学んでいると、不思議と納得できる「答え」は必ず用意されていると思え・・・
そしてそういった魚からの「答え」の場面には、たいていの場合、釣り人の予想を超える緊張感溢れる刺激的なファイトが常に控えていて・・・
其の体験が、すこぶる快感な故に、また次の「答え」を求めて、竿を振り続けてしまうのだと思います。
ホント良く出来ているのです。(笑)
