MEGABASS Engineering Team Blog Vol.126 | Megabass-メガバス

MEGABASS Engineering Team Blog Vol.126

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MEGADOG(後編)

 

 

今回のエンジニアリングブログは前回の続き。メガドッグのカラーバリエーションについて解説したいと思います。なぜこんなカラーを設定したのか、どんな時にどのカラーが有効なのかなどをお話ししますので、使う際の参考にしてください。

 

>>> MEGADOG(前編)

 

●メガバスらしさを表現するカラー群

 

 

メガドッグに限らず、ルアーのカラーは何層にも丁寧に塗り重ねてベイトを忠実に再現するのがメガバスの仕事。そのため今回も基本的にはリアルカラーが中心ですが、本物のベイトとは似ても似つかないカラーで釣るのもルアーフィッシングの楽しみ方のひとつですし、大量にベイトが群れてシーバスが「エサボケ」している状況では、あえてエサとかけ離れたものを放り込んで目立たせるケースもあります。そういったニーズもふまえて、アトラクター的な要素を入れたパターンも併せて提案しています。

 

そこでメガドッグのカラーですが、個々のカラーではなく表面処理(ベースカラー)で分類すると分かりやすいと思います。

 

 

●フラッシング重視のGG

まずはGG、いわゆるグアニウムゴーストを採用したカラーです。これは角度によって光を透過しつつ、順光では強いフラッシングを発揮するメガバス独自のホロ系パターンで、シーバスが視覚に頼った捕食をしている時に有効です。遠くからでもベイトフィッシュとして認識されやすく、ヒラウチドッグウォークの際のフラッシングを深いレンジまで届ける効果もあり、なおかつ自然のベイトフィッシュの透け感もリアルに再現しています。コノシロ、浦戸マレット、イワシ、サンセットレインボーの4つはこの系統です。

 

グアニウムゴーストはベイトフィッシュのウロコに含まれるナチュラルなグアニン色素を忠実に再現。

光を反射するとメタリックに輝くが、逆光ではシースルー(ゴースト)に変化。あらゆる条件下でリアルな存在感を演出する。

 

 

●反射を抑えた和銀&和金

そのいっぽうで、同じホロでも若干アピールを抑えたパターンが『和銀』と『和金』。これはホロの強い反射をあえて鈍くさせたもので、銀箔やたばこの銀紙を使った昔のハンドメイドルアーに近いテイストです。また、メガバスがずっと提唱してきた魚のグアニン色素に近い質感も緻密に再現し、マズメ時のローライトコンディションでもぼやっと光って魚っぽい存在感を維持します。採用しているのはライブシャイナー、和銀コノシロインジケーター、和金オチアユの3パターン。派手なカラーやフラッシングではちょっと強すぎるという、セレクティブな状況に対応しやすいカラーです。

ちなみに和銀コノシロインジケーターのみオデコにチャートを吹いてありますが、これはローライトコンディションにおいて遠くからでもルアーの位置や動きの確認ができるようにという意図です。足場が高い位置から操作する場合でも、このチャートによって動きを把握しやすくなりますよ。

 

和銀は光の透過が少ないメタリック系。メッキ系のピカピカした反射ではなく、柔らかくくすんだ光を放つ。

和金はそのゴールドバージョン。どちらも一段アピールを落としたい場面で活躍する。

 

 

●明滅効果とダウンサイジング効果を強調したGP

GPライムレインボーは、GP(グアニウムファントム)を採用した透け透けのホロパターン。虹色の模様が入っているけれど光は透過している、そんな加工です。このカラーの狙いは極力存在感を消していくこと。ビッグルアーでありながら視覚的アピールの部分でダウンサイジングに持って行く、そんな狙いがあります。魚から見ると、側線で感じる波動の大きさと、接近したときに眼で見えるボリューム感が異なるわけで、そのギャップも狙いました。順光で見るとうっすらと虹色の光が見えていますが、逆光にするとそれも消えてレインボーの塗装だけがわずかに残る。この明滅とダウンサイジング効果がダマしの要素になります。

 

GPはクリア系カラー+グアニン色素のパターンで、シルエットは消しつつ光でアピール。

ボディ外面は光を反射しつつも透過率が高く、完全なクリアよりも水の馴染みが良い。

透明度の高い海域ではとくに効果的だ。

 

 

●ルアーフィッシング本来の力を持つドチャート

リアルなベイトフィッシュカラーと対照的なのが、スパークル・ドチャートです。表面にはラメが施してありますが、完全に塗りだけで仕上げたソリッドのチャート/オレンジベリーです。このカラーはベイトが大量に群れてシーバスがエサボケしている状況で、あえてベイトフィッシュの視覚的要素と真逆にすることによって目立たせ、バイトさせる狙いです。表面の輝きが欲しかったので、マットではなくあえて艶のある塗装にしました。こういうカラーは好き嫌いがハッキリ別れますが、いろいろ聞いてみると、「好き」という人も、最初は大嫌いだったけど使ってみたらすごく釣れて好きになったというケースが多いようです。要は食わず嫌い的な話なので、これまで使ったことのない方にも是非試してもらいたい色です。決して奇をてらった配色ではなく、ベイトを見飽きた魚に対する合理的なアプローチなので、使ってもらえば必ず新しい発見があると思います。

 

一見ド派手なチャートだが、シーバスルアーでもその効果は実証済み。

大量のベイトがいるなかでは実に合理的な喰わせの切り札になる。

 

 

●マイスターのこだわり。慎太郎ナチュラル

これは私・鈴木慎太郎こだわりのカラーで、透明、リアル、ド派手の中間色的なところを狙っています。ゴースト系の下地にきめの細かいパールとマズメ時に効く紫を配色、ベリーには控えめなオレンジをサッと吹いて薄いラメでコーティングと、全体に中間的な存在感を出しています。完全に透けるクリアではなく、ナチュラルでもあるしアピール性もあるのですが、ド派手系のカラーのように強すぎることはありません。水色や光線量にも左右されにくく、パイロットカラーとしても使いやすいため、いろいろなカラーのなかからどれを使うか迷ったとき、これを使っとけば間違いないよ、という提案でもあります。何よりこの半透明の抜け感は、発泡素材やウッドでは出せないカラーなので、ぜひ皆さんも使ってみてください。

 

完全に透けるクリアではなく、ナチュラルでもあるしアピール性もある。

慎太郎ナチュラルは条件を選ばないオールマイティなカラーだ。

 

 

以上、メガドッグのカラーについてお話ししましたが、全体にこだわったのは生命感、生き物っぽさです。これは造形の段階から一貫したメガバスのこだわりなので、塗装でもそれに応えたいという想いが常にあります。もちろん、陰影をつけた細かい吹き込みや表情など、すべてが手作業。職人が一本ずつエアブラシで塗っています。些細な部分では、リアルパターン6色には下あごの部分のみ色を塗らずに透明なまま残すという裏ワザも使っています。

 

 

工程的にはひと手間、ふた手間増えてしまいますが、本物のベイトとしてのリアルさだけでなく、ルアーだから表現できるリアルさを追究することで、メガバスのオリジナリティを感じ取ってもらえたら嬉しいですね。

 

※ 記事中のMEGADOGの画像はプロトモデルです。

 

 

 

 

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>>> MEGADOG(前編)

 

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