湖上は一気に晩秋の様相を呈してきた早明浦ダムへ撮影のため出陣。今回は、来年の大阪フィッシングショー向けとスペシャル番組向けの撮影。ギャンブラーボートドライビングの空撮!!というはじめての試みで、撮影許可を受けてなんと!ヘリからの空撮。
プロデューサーは、各界アーティストをはじめフェラーリF1のムービーなどを数々手掛けてきたゼロさん。
実釣の方は、多くの日本人アングラーと同じ土俵でインファイトするために、全国あちこちでグラウンドゲーム(岸釣り)に徹した撮影を敢行してきた。
今回の撮影は、私が目指すメガバスフィッシングのコンプリートスタイルを世界中のMEGABASS FANに知っていただくためのゼロさんのアイデア。ということで、自身初のヘリからの空撮に至りました。
やってみると、スゴイというか、なんというか、やはり各界の大型案件をプロデュースしてきただけあってスタッフのスキルがスゴ過ぎ。私も負けじと激重ステ、天然ドリフトしまくりシャローハルでフットトリム仕様の・・・あのX-BITES初期に愛艇として活躍した伝説の「ギャンブラー209」を引っ張り出しての撮影となりました。もち、昔と違ってめっちゃ安全運転ですけどね。
あれから、何度か小さなレストレーションを施して、自身の魂ともいえる愛艇なので後生大事に所有し続けて現在に至ります。
抑えて走っていてもやはり209のパフォーマンスは凄まじく、「コレ、本当に釣りの船ですか?」と撮影チームから数々の驚嘆の声があがる。フェラーリレーシングデイズの撮影をこなしているだけあって、目のつけ所が釣りメディアさんとは違いますね。
プレーンのあと、水面を超低空で飛行するジェット戦闘機みたいな209の走り。
実際、水中にペラが入っているくらいで船体は水上から完全に離れて走るというか、飛んでいる。走行ではなく、飛行。これが、初期型ギャンブラー社の209ならではのエアリフトハルが成せる独特の飛行パフォーマンス。船底が空気をはらんで浮かすようなハルデザインなので、飛ぶわけです。
まあ、はっきりいってこんなギミックは魚釣りにまったく必要ないわけで、当時はまだ小さなガレージファクトリーだったギャンブラー社の偏屈社長のこだわり以外の何物でもない。
当時、ギャンブラー社に、こんなに船を速くする必要があるのか?と聞いたら、「遅くてどうする。」という回答が返ってきた。なんでも当時のギャンブラー社の社長はボートレースに出場するバリバリのレーシングパイロットだったそうで、「釣りに関する装備は?」という私の質問に対して、「釣りはあまりしない。」というものだった。「なんでこんなにロングノーズなの?」と聞けば、「そのほうがカッコいいだろ」「ビューティな彼女と二人で寝られる」という答え。キャビンのウインドシールドがモデル193には無い。209にはかろうじてあるが、風よけになるほどのものではなく、恐ろしく小さい。「高速走行の時、雨粒や虫とか顔に当たって痛いじゃないか?」というと「そんなの(ウインドシールド)付けたら遅くなる。ゴーグルかヘルメットを装着したまえ」とのことでした。
レーシングボート用の超小径のステアリングはダイレクトそのもので、めっちゃ重い。船体のノーズはめっちゃロングノーズで、だらだらプレーンしてゆっくり走っていると・・・そもそも前が見えない。
そんなギャンブラーは、様々な経営的変遷の末、現在はステアリング社となったが、やはり創業時のギャンブラーボートには、何か特別な血の匂いを感じます。当時の琵琶湖で数々の激闘ロケをこなし、荒れ狂う琵琶湖・北湖の鬼斬りを支えてくれた我が愛艇209。
そのステアリングを握り、湖面から離脱して低空を駆け抜ける時、いまも私の体内でふつふつと湧き上がるものがある。それはきっと、そつのない現代のフィッシングに対する反逆にも似た青い感情かもしれない。あの時と同じように。