グッドデザインアワード授賞式 | Megabass-メガバス

グッドデザインアワード授賞式

今年度のジャパングッドデザインアワードは、例年の赤坂ミッドタウンから場所を移し、かなり大がかりな規模へとスケールアップ。有明のビッグサイトで開催されました。
ビッグサイトといえば、かつてフィッシングショーが開催された思い出の場所。なつかしさと、新たに芽生えたモチベーションが交錯する不思議な感覚。受賞の模様は、エイ出版さん「BASS WORLD」をはじめ、BS「釣りビジョン」さんたちが取材していましたので、これら媒体でご覧になっていただければと思います。
とても印象的だったのは、受賞作品が、あのビッグサイト会場一杯に展示されていたんですが、毎年のことながら釣り具は他の産業製品(クルマや医療機器、家電など)と比べてめずらしいのか、パガーニ・エアバンブーやパガーニリールの前は、多くのヒト達で人だかりになっておりました。こんな光景からも、潜在的に釣りやアウトドアスポーツへの高い関心度が伺えるアワードでした。

ところで、デザイナーとしては、いままで様々なものを手掛けてきたのですが、釣りのメディアで紹介されなかったものとして手掛けてきたのは、生け花の剣山、某社のジェット天秤、アパレルやイクイップメンツ、レース参戦用の某イタリア車のディフューザーとか、某ドイツ車のインテリアパネルなんてのも実はあったりするんです。そういえば、かつては、ぬいぐるみ・・なんてのも手掛けたかな。アイティオーエンジニアリング㈱が、現在のメガバス㈱と合併する前は、依頼があれば釣り具以外の様々な分野のデザイニング事業を手掛けていたので、その時の名残が現在の釣り具デザインのちょっとした曲線や直線に出現してくることがあります。

CAD/CAM全盛のコンピュータデザインの時代になったとはいえ、現在もメガバスルアーのモックアップやシェイピングフォームはすべて手作業で行われているので、これら手作業で生み出したモックアップモデルを金型データ化する時だけCADやCAMの出番となるわけで、いまも昔と変わらずコンピュータがモデリングしてくれるわけではないので、良くも悪くも私の手クセみたいな人間臭い部分が形状に出てきてしまうわけです。まあ、それを味ととらえるか、論理的整合性のなさととらえるか、ものの見方は様々。
そもそもアートというものは、感性なので、数学ではないのは確かでしょうね。

そんな私の一刀彫や竿の調子出しを次の世代に継承するために、本社ファクトリーでは数名の弟子をしごいております(笑)。私はいずれ死ぬのでしょうけど、企業には継続責任がありますから、やはり、メガバス的なモノづくりを続けていくためには、私の手癖、感覚を継承するコンピュータじゃない「人間」が必要です。これを担う人物には、それ相応の感性と覚悟が要求されるので、ワザの継承や匠の養成も私に課せられた責任だと思って、日々、彼らとは厳しくお付き合いさせていただいております(ホントはオレってやさしいひとなんだけどね(笑))。人の感性って様々。それがきっとデザインの多様性をうみだしているから面白い。

ただし、多様性で片付けられないものもある。BMWの伝統的ギドニーグリルとか、911の伝統的リアエンジンのマウント形式の制約を受けたデザインとか、ピニンファリーナのフェラーリデザインとかね。工業性として先進的提案を義務付けられているにもかかわらず、一方では伝統を継承することが企業活動の源泉になっている会社にとっては、そこに多様性や先進性だけでなく、普遍的・不変性も要求されるから、デザインの奥行きも追及しなければなりません。それは、コンピュータで論理的に処理しきれない、ヒトの生き方とか感性みたいな・・ややこしくて泥臭いもので取り組まなければならないので、一筋縄じゃいきません。つまり、デザインって宗教みたいな側面もありますね。それが好きでなければ出来ないという(笑)。マジ、泥臭い仕事なんだなぁと、あらためて思う今日この頃でした。

 

 

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