禁漁間際の源流で ~GREAT HUNTING 50 FlatSide~ | Megabass-メガバス

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禁漁間際の源流で ~GREAT HUNTING 50 FlatSide~

車を走らせ山を登る。
道すがら田んぼの畦道を紅く彩る彼岸花に秋の始まりを・・・そしてシーズンの終わりを告げている。

 

 

記憶では2週間は確実に夏だった。
2日前も猛暑日だったのだが、山の空気は確実に秋のそれ・・・トラウトシーズンが終わる。
禁漁日前日、思い立った私は山奥へ。

コロナ禍よりの釣りブーム・渓流人気により、なかなか手近な渓流では感激するような魚に出会えなくなってしまった為、ここ最近は(ちょっぴり歩く)労を惜しまず、見知らぬソフトな源流に分け入って釣り場探索していたのですが、考える事は皆同じらしく、なかなかソフト源流域程度では好釣果に出会えませんで・・・(笑)

 

 

いよいよ一段奥地に踏み込むしかないかと決意し、1週間程前に道無き道を超え、とある源流へと行き着くルート探しを地形図片手に独り行ったのですが、川原にすら立てずハイキングしただけ・・・(笑)

「ダメだこりゃ!」
と諦めかけるも、来シーズンまで半年持ち越しにするのも何だかなと追考し、どうにかこうにか源流域への別ルートを開拓。禁漁前日に源流開拓釣行です(笑)

駐車場所からルートファインディングしながら山中を彷徨い下った結果、1時間程で(恐らく)源流の中程に出た為、最上流部を目指すよりも先に、とりあえず下流側が何処まで行けるのかを調べようと、一旦沢伝いに出来るだけ川を下ってみました。

 

 

そもそものルート探しに時間を食われ、この時点で既に正午過ぎ・・・
見知らぬ山奥の川で、帰路はうろ覚えのルートを登り返すことになる為、日暮れ前迄には確実に戻らなければなりません。
私は、午後3時あたりで見切りをつけて帰路につくのが安全ラインと予定を立て、やや急かされながら沢を下っていきました

川を下りながらも、点々と目にした美味しそうな淵に試しがてらに GH51 HUMPBACK を投じてみたところ、幸先良く25cm程の岩魚がポロリと。魚が棲んでいることに一安心♪

 

 

高まる期待に益々急かされつつ、素早く、されど用心しつつ川を下り続けると、やがて予想通りに落差のある滝に行く手を阻まれ・・・そこから、いよいよ川を逆戻りに遡行しながら本格的に釣り始めてみました。

 

 

(源流域の)下流域は、奥深く両岸を切り立った岩盤に覆われている場所が多く、陽の射し込みは期待できず薄暗い。
良さげな滝つぼや、それっぽい淵は点在したものの「源流域へ来たぜ!」という期待ほど魚影は濃く無い感触・・・!?(笑)

 

 

投じたルアーに対して違和感のない(=興味を惹かれつつも、ちゃんと警戒もしてる)反応で魚影が走るものの、実際釣れても20cm弱のサイズ感で、源流域に抱く理想を裏切る「下界と変わらぬ様子」に、若干拍子抜け・・・(笑)
放流を期待できないエリアなら、むしろこれが自然かとも思いながら、黙々と淵々にミノーを撃ち込み、見知らぬ釣り場を楽しみます。

そうしてポツポツと同型の岩魚を釣りながら入渓地点まで釣り登ること約2時間。
今度は源流域の上流へと歩を進めようとしたところ・・・時刻は間もなく午後3時。

岩盤でできた小型の滝つぼの下、中程度の広さの淵の泡の中へ GH50フラットサイド(S) のタクミイワナを撃ち込み躍らせると、泡の中から黒い影が飛び出し追尾するも、泡を抜けた所で警戒したのか即座に反転!?
直後の2投目に対しては、再び一瞬反応しかけたものの、泡下で反転する姿が見えただけ・・・。

 

 

ごくごくナチュラルで素直な警戒行動かとも思えましたが、その反応具合に、何となしに違和感を覚えた、カラーを変更!
フラッシングは維持しつつ、背の赤色の配色が特徴的なMレッドストリームをラインに結びます。
そして、その一投目。
先刻と同様、滝直下の泡の中へとルアーを投げ込み、恐らく泡で視界の悪いであろう状況下でも、できるだけ魚がしっかりルアーを認識するように、ルアーが魚の視界に確実に留まるように、細かいトゥイッチで焦らすようにスローに誘いをかけます。
そうして GH50FS が、ちょこまかと踊りながら、いよいよ泡下から抜け出ようとした瞬間、背後から黒い影が現れ、一瞬でバイト!!

即座に反転し泡下に戻り、デロデロと絡みつくように抵抗する魚を、 Whip Twich 573で優しくいなしつつ、手繰り寄せ無事捕獲♪
ようやく出会えた源流域らしいジャスト30cmの尺岩魚さん!

 

 

(恐らくは雄だろう)厳つくなり始めた顔と、潜んでいた淵の環境、それに Mレッドストリーム への反応から、ひとつの感触が得られる。

この時点で午後3時、当初の予定では帰路につく時間・・・
太陽はいよいよ山の向こうに身を隠そうとしており、周囲の明度は確実にぼんやりと落ち始めている・・・
が、止めれない・・・(苦笑)

浮かんだ推察を確かめるべく、もう少しだけ・・・あと1時間、午後4時まで竿を振って「絶対に帰路につく」と決意し、釣りを続行。
残り時間を考慮して、考察に見合った淵だけを摘むように Mレッドストリームを撃っていく!

ほどなくして、見かけた小さな落ち込みには十分な深度があり、下流に程よい緩い流れの淵も備えている。泡の中に先刻同様GH50FS(S)を投じ、じっくりと「見せる」イメージで、ミノーを震わせながら漂わせてみると、突如「ズン!」とルアーが根掛かりかのように止められ!?感じた違和感に反射的な巻き合わせ。Whip Twich 573に弧を描かせ応じると・・・白泡から淵の規模に似つかわしくない長い魚体が暴れながら飛び出した・・・

 

 

嗚呼、先刻の魚を上回る34cmのイワナさん♪

丸っこくて、優しそうな顔をしているので雌だろうか?
狙った環境に、予想したサイズの魚がしっかりと潜んでいた事で、推察は確信へと変わり始めるも、デジカメのディスプレイに表示された露出補正値が、周囲の明度が落ちた事を実感させ・・・気持ちが焦る。(汗)
だが止まらない・・・止められない。
先が見たい。
もう少しだけ先へ。
推察通りであれば、この先には恐らく・・・。

時計をチラ見しつつ、視界に入る少し上流の「良さげな淵」へ急き込んでは歩み寄り、構え、投じ、また少し上流の「良さげな淵」へとにじり寄る。

広さ、深度、流れの緩急、申し分なし。
無駄なキャストミスに注意して落ち込みの白泡へと、静かに消し込むようにGH50FS(S)を運び、震わせるようにゆっくりと流れに乗せて下らせると・・・
突如、泡と流れに霞む水底から黒い影が現れ「グン!」とした感触と同時に、GH50FS(S)に覆い被さった!

反射的にフッキングしつつ、流れに乗せて強引にランディング!

 

 

嗚呼やはり、予想通りの尺イワナ♪

もう確信しかないけれど・・・この上流には・・・この上流域にある「その条件の淵」には恐らく居るはず。居ていいはずなんだ。が、時刻は午後3時50分。
川はまだ続いている。視界の先では川は右に曲がり、その先は見えないが、まだ奥深いはず。
だがもう流石に時間が無い・・・真剣にマズイんだ。

次の淵を最後にしようと、上流へ目を向けできるだけ最高な条件なものを探し、視界に入る段差の明確かつ、十分な空間を持つ淵へ小走りで忍び寄る。
そして呼吸を整え、覚悟を決めて、また落込みの泡の中に確信のMレッドストリーム。
微かに躍らせ、流れ下らせれば・・・
黒く長い影が走り出し、躍る フラットサイド に追突!
巻き合わせながら、勢いそのままに岸へと導きランディング!

 

 

ラストを飾るに申し分ないと期待できる淵だったが、釣れてきた魚は少し小ぶりに。
しかしそれでも、28cmの良型岩魚さん♪

忙しなく写真撮影を済ませ、時計に目をやればちょうど午後4時・・・
後ろ髪引かれまくりな思いではあるが、素晴らしい環境に出会えた事に十二分に感激もしていて、決意通りにストップフィッシング!
即座に踵を返し「事故らない」最速モードで沢を下る。
いよいよ薄暮に焦りながら、見知らぬ山中を己の踏み跡と、記憶(うろ覚え)を頼りに斜面を彷徨い登り、ゼイゼイ言いながら、どうにかこうにか無事車まで戻ることができ一安心!(笑)

安堵感の中、「禁漁ギリギリにやる釣行じゃないなぁ・・・」と反省しつつも、久々に触れられた「野生」に感動しながら山を下り、私の2023シーズンの渓流釣行は興奮の中で幕を閉じたのでした。

この日、この源流域で感じたのは、岩魚達のごくごく自然な産卵行動でした。
迎える秋を意識し、岩魚達は競うように上流域の産卵場所を目指す。
とりわけ、より大型のものが(条件に見合った)可能な限り上流域の一等地を占拠し、カップルとなる相手を待ち始めている状況だったのだと思います。
故に下流域の滝つぼや、いかにも良さげな筈の淵に、型の良い魚の姿が一切見られず、入渓地点よりも上流となる上流域に大型の魚が多数偏在していたのだと思います。

 

 

私は以前に禁漁間際の源流域で、同様に産卵を意識した岩魚達を見て知っていた事、それに最初に釣れた尺岩魚がGH50FS(S)をチェイスした際に感じられた「何となく食性らしくない」反応具合が「気づき」の一端となり、産卵行動を意識した魚であれば、とりわけ「赤系統のカラー」に何かしら特別な反応を示すかなと期待してMレッドストリームを試すに至ったわけですが・・・
思い返せば道中、彼岸花は咲き乱れていたし、秋の空気は確実に感じられていたわけですから、本来季節の移り替わりは意識すべき話で・・・(苦笑)
改めて鱒達は、暦などなくとも、正確に自然のリズムに則して生きている事に感心しました!

危なっかしい源流釣行でありましたが、シーズン最終日に山奥で人知れず、ひっそりと守られている貴重な「野生」に触れる事ができ、ただただ感動しました!
この場所も、どうか何時までも、このままで在って欲しいと願うばかりです。

 

 

Tackle Dataタックルデータ

【Rod】GH57-3LS WhipTwich573
【Reel】2000番
【Line】PE 0.6号 + ナイロン4lb.
【Lure】GREAT HUNTING 50 FlatSide( M RED STREAM )