ワンテン“R”始動! | Megabass-メガバス

ワンテン“R”始動!

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■どんなルアー?

ワンテンといえば、POPMAXと同じく、アイティオーエンジニアリング社を代表する作品だ。おそらく、メガバス製のPOPX以上に、全世界でその名が知られるルアーである。

 

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全米各地で開催されるメジャー、マイナー問わずあらゆるトーナメントで、シャローでベイトがアクティブな季節になれば、必ずと言っていいほど上位入賞者のうちの何パーセントは、ワンテンをサーチベイトとして使っており、時に入賞者たちにとって共通のキッカーベイトとなり、はたまたウイニングルアーにもなるため、もはや「ワンテン」という釣りジャンルが確立されている。日々、その使い方が研究されており、いまも進歩し続ける「ワンテン・パターン」は、様々なアングラーによって独自の釣法が確立されている。

ワンテンは、アメリカだけでなく、フランスを中心に欧州でも同様の成果を歴史に刻み、バール(欧州産スズキ)釣りのコンペティションなどで定番化。バールフィッシングの欧州ワールドカップではトップ10のうち、TOP6がワンテンによって釣り上げられた魚がウエイン会場に持ち込まれ、伝統的な欧州の釣り具メーカーからは、「これではワンテンのワンメイク大会ではないか」とクレームが入れられた逸話もある。東欧、ロシア、アジアでも同様の逸話が尽きない。

こうして、アイティオーのワンテンは、ディストリビュータのメガバス社の当初の思惑だった、「伊東由樹とアーロンたちが身内で使うプライベートベイト」の枠を飛び越え、グローバルなフィールド使われるミミズのごとく、釣り餌としての生態系に組み込まれ、普遍の定番と化している。

ちなみにワンテンとは、その名が示す通り110mmのミノー型ルアーであり、110とは、「イ(1)トウ(10)」・・・私のコードナンバーだ。まるで、小学生が命名したようなネーミングで、残念ながら他意はない。

 

■ワンテンという人生のキッカーベイト

オリジナル・ワンテンによって、時として同門同志が同じ刀で斬り合う事件もままあった。例えば、2013年のアメリカで繰り広げられたバスマスター・エリートシリーズがそうだった。年間チャンプ獲得に向けてしのぎを削る戦いでは、チーム・メガバスの3人、アーロン・マーティンス、エドウィン・エバース、クリス・ザルディンによる、三つ巴戦となった。

 

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当時、チーム監督の私は、タイトル獲得を狙う彼らの高いモチベーションとは裏腹に、武器を同じくするが故の、個々のアングラーとしての資質が浮き彫りにされることが、彼らへの人事評価に反映され過ぎないよう配慮に苦慮していた。とあるシャロー戦では、アーロンのワンテン、エドウィン操るワンテン、クリスが繰り出すワンテンのうち、いずれかが勝敗を決めてしまうという事態にもなった。

最終的に年間チャンプとなってアングラーオブザイヤーを獲得したのは、古株のアーロンだったが、チーム・メガバスは、別名「チーム・ワンテン」とも言われ、チームメイト3人全員がシングルランクにランクインするという、同志の戦いとなった。こうしたことが何度か続き、およそ20年に渡ってメガバスでキャリアを積んできた古株のアーロンが、2015年に私達との友情関係を重視してチームを離れ、独立することになった。アーロンとは今も実に仲の良い、信頼できる長年の友として我々との友情関係が続いている。

2016年は、これまでチームメイト内で繰り広げられてきたワンテンの熱戦からジャークの極意を掴んだといわれるエドウィン・エバースが、それをフラップスラップに展開し、独自のロッドワークを開花させ、元チームメイトのアーロンを抑えて「バスマスタークラシック」を制してワールドチャンピオンに輝いた。クリスもB.A.S.S.を代表する次世代のヤングスターとして活躍の幅を広げ、デストロイヤーとオロチXX、レヴァンテ(共に米国向きメガバス・ロッド)を右腕に、トップアングラーとして進化を遂げた。

 

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まるで関係ないような話に聞こえるが、ワンテンの戦いがあったからこそ、フラップスラップのバスマスタークラシックがあり、彼らの多彩なロードワークに対するレスポンシビリティに対応するDOG-X DIAMANTEが生まれている。3人は、ワンテンによって、アングラーとして独自の地位と名声を上げてきたのである。

 

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■ワンテンRとは?

こうして、生みの親の私の手を離れ、人の人生をも左右してきたワンテンだが、日本にもワンテンによって人生の転換点を迎えようとしている男がいる。

サトシンこと、佐藤信治である。

 

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サトシンと私は、もはや20年以上も前からの知り合いで、腐れ縁ともいえる古くからの友人だ。若き日は、今は無き中部の釣り雑誌「FISH ON」で、どちらがデカバスを釣るエライやつか?を競い合った間柄ともいえるが、サトシンは、ジャークベイト使いとして間違いなく日本を代表するトップアングラーである。

これまで、サトシンとはお互い長い間同じ業界にいるにも関わらず、釣りビジョンのトークショー以外では、一緒に仕事をしたことはほとんどなかった。考えてみれば、あまりに近しい存在過ぎて、近所に住む友達とは呑みに行っても同じ職場で働かない、のと似た感覚かもしれない。

そんなサトシンと私を同じ職場へと仕事に向かわせたのは、「ワンテン」だ。

同窓会で久しぶりに会った悪友が、いまは立派な校長先生になっていたのとおんなじで、いまやサトシンは、琵琶湖で鳴らす鬼の塾長である。一つ事を時間軸に関係なくとことん突き詰めていく求道的な生き方とそのストイシズムは、本人いわくの「不器用な男だから」を通り越し、リスペクトの念さえ抱かせる。

日本最強のジャークベイターが琵琶湖最強のワンテンを創り上げたい、という想いに答えることが、かつては琵琶湖・北湖の悪ガキだったが、一応いまもこれでメシを食っている現在の私が出来ること。琵琶湖の温故知新を知るお互いが、英知の限りを尽くして作り上げたのが、「ワンテンR」である。

 

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Rの意味は、レヴォリューションであり、琵琶湖最強における不変の定番、レギュラーの意を込めている。

 

■ワンテンRの凄いところ

ワンテンRは、琵琶湖最強を目指すため、様々な点でオリジナルより突出させている。

まず、とんでもなく「飛ぶ」。琵琶湖特有の、あらゆる方向から吹き曝すアゲインストの爆風を突いて飛ぶ。ロングディスタンス・ジャークによってバスを広域から引き出すための、ジャークのプロダクティブゾーンを風速に関係なく、ロングレンジで稼ぎ出すためだ。

したがって、ワンテンRは、オリジナルの2ウエイトによるタンデム型のシンクロ・バランサーウエイトを改め、重点を1ケ所に集中させ、重心の瞬間移動を促すため1ウエイト構造とした。ボディ最後端部までの移動を可能にするため、テールエンドはオリジナルよりも容積を持って設計し、オリジナルよりグラマーなテールデザインだ。

1ウエイトの重心移動は、2ウエイトによる2つの重点による多動作が望めない代わり、1つの重点ならではの、迷わぬウエイトがもたらす瞬間的なバランシング・シフトが行われる。

瞬発的なダート、瞬発的なウエイト復帰、瞬発的なキャストなど、琵琶湖など広大なフィールドで釣りをする上で重要な、操作のダイナミクスを高めている。

 

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加えて、ワンテンRは、サトシンが提唱するフルシーズン・オールレンジで使える「バーサタリティ・ジャーキング」の概念を展開するため、3つのシステムユニットとして開発。
ショートビルのスタンダード。ミディアムビルの+1、ロングビルの+2 という3つのモデルが誕生した。

いずれも、様々なレンジをストレートリトリーブで魚を引き寄せ、ジャークでバイトさせる、ワンテンならではの特質に磨きをかけたものである。ワンテンRは、長大な距離に加え、それを様々なレンジで展開するための「システマティック・ジャークベイト」として、かつてないワイドなジャークベイトゲームを繰り広げるニュージェネレーションだ。

 

■買いか?
私のタックルボックスには、オリジナル・ワンテンが30ピースほど収まっている。これでも足りないと思う。フックをチューンしたもの。バランスをチューンしたものなど、様々だ。生みの親なのだから、あらゆるフィールドや状況を想定し、ワンテンのどこをどうすれば良いのか、世界で一番私が知っているはず。いや、そうでなければいけない。

オリジナル・ワンテンにも+1、+2が存在する。これまでも数々の難局でビッグフィッシュを引き出し、これからも最高でこれ以上はもはや無い、といえるほど良く釣れる。

では、“ワンテンR”とは、何なのか?

いまから10年程前であれば、私はオリジナル・ワンテンシリーズを手に、琵琶湖でサトシンに戦いを挑み、彼をコテンパンに負かせて勝つことができただろう。或は、現在も戦いの舞台が琵琶湖以外であれば、私が知り尽くすオリジナルワンテン・テクニックをフルに動員し、善戦する自信もある。

しかし、残念ながら、いまや琵琶湖の番人となった現在のサトシンを相手に、今の琵琶湖で彼との釣り勝負に勝つためには、私には何かが足りない。サトシンは、琵琶湖最強のワンテンRの3ユニットを武器に、さらにステージを引き上げた高次元な釣りを展開するはずだ。琵琶バスの釣りを知り尽くす彼のことだ。60オーバー後半をあっさり引き出してくるかもしれない。

ワンテンRを私が入手しなかった場合、私の敗戦はあきらかである。

 

 

 

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