ウィードエリア × DEEP-X 琵琶湖ガイド・杉村和哉の必殺ディープクランキング術 | Megabass-メガバス

ウィードエリア × DEEP-X 琵琶湖ガイド・杉村和哉の必殺ディープクランキング術

 

 

 

ディープクランクの持ち味は文字通り、深いレンジのクランキング。使い方はボトムノックや中層のタダ巻きなど様々だが、近年注目されているテクニックと言えば、琵琶湖をはじめとするビッグレイクのウィードエリアを攻略するパターンだろう。その理論を早くから確立し、実践してきたメガバスプロスタッフの杉村和哉さんに、杉村流ディープクランキングのカギを解説してもらった。

 

ウィードエリアのクランキングとは、簡単にいえばクランクベイトをキャストし、リーリングによって潜らせ、ウィードに絡んだらそれを外して誘い、喰わなければ再びリトリーブを続けるという流れ。しかしいざやってみるとそれほど単純ではなく、個々の場面において素朴な疑問が次々に湧いてくる。そんな疑問の数々を杉村さんにぶつけてみた。

 

 

 

●狙うべきウィードエリアのイメージは?

Q: ウィードエリアと聞くと、漠然と藻が茂ったフラットな感じをイメージしますが、実際にはどんなところを狙うのですか?

 

A: よく「ウィードのトップが3m」などと表現しますが、3mできれいに揃っているとは限りません。フラットなウィードもありますが、普通は高さの異なるウィードが混在していると思って良いでしょう。ウィードにはカナダ藻、エビ藻、センニン藻などいくつもの種類がありますが、バスが着くのは共通して「硬いウィード」です。これはバスがストラクチャーフィッシュで、何かに寄り添う性質があるためだと思います。狙うのはこうしたウィードのエッジや、島のように密生したところです。水質的にはクリアよりも濁ったエリアを選んだほうがバスの警戒心が低く、ヒットさせやすい傾向があります。

 

ウィード面はフラットではなく、高さの異なるウィードが混在している。

 

 

● キャストはショートで刻むのか、ロングキャストで広く探るのか?

Q: その不揃いのウィードに対して、アプローチはどのように行っていますか? 目で見える範囲をショートに撃つのか、それとも広い範囲をチェックするのかといったことです。

 

A: 夏場のギルパターンのように、目視できるウィードの隙間をピンポイントで狙い撃ちするケースもありますが、それを除くと圧倒的にロングキャストが有利です。ディープクランキングは飛距離が命。喰わせのテクニックより、1cmでも遠くに飛ばすほうが大切と言っても良いくらいです。

 

 

 

● 杉村和哉のタックルセッティング

Q: 杉村さんがこの釣りに使うタックルを教えてください。

 

A: ロッドはヴァルキリーのVKC-71MH、リールはロジウム63L、ラインはフロロカーボンの16lbです。飛距離優先で考えれば14lbという選択肢もありますが、とにかくキャスト回数が多いので、それによる劣化や消耗は極力抑えたい。なおかつ突然ヒットするビッグバスも確実に獲りたいので、飛距離と強さを両方満たす16lbを使っています。

 

 

 

Q: VKC-71MHはどんなロッドですか?

 

A: このロッドはディープX300と、DX-フリー2.0、3.0の専用ロッド。まさに琵琶湖のディープクランキングのために作ったモデルです。テーパーはミディアムファストで、これまでのクランクロッドと比べると硬いですが、ルアーのウエイトを乗せやすく遠投性能に優れた設計です。また、クランクベイトがウィードにスタックした感触を手元に伝える感度や、ウィードをほぐしたりカットしたりする際の操作性も重視しています。それとヴァルキリーはリアグリップの長さをMAHS(メガバス・アジャスタブル・ハンドリング・システムの略)で自在に調整できるので、最大長にセットしてさらに遠投性能を高めています。

 

>>> VKC-71MH Products page

 

リアグリップはMAHSを使って最大長に調整している。

 

 

● クランクベイトの潜行深度はどこに合わせて選ぶ?

Q: 次にクランクベイトのチョイスですが、たとえばいま、水深4mでウィードが水面下2mの高さだったら、クランクベイトの潜行深度はどちらに合わせていますか?

 

A: 例外もありますが、基本はボトムです。そうすることで高さが異なるウィードの隙間も連続的にトレースできます。潜り足りないか、潜りすぎるかと言ったら、潜りすぎるくらいのほうを選ぶことが多いですね。

 

 

● 杉村的お薦めクランクベイトを3つ挙げるとしたら?

Q: いろいろなクランクベイトを状況によって使い分けていると思いますが、そのなかであえて、杉村的オススメのクランクを3つ選んでください。

 

A: 琵琶湖の沖のクランキングをやるなら、4mダイバーの『ディープX300』と3mダイバーの『DXフリー3.0』、それと『ディープX100 LBO』。この三つは持っていたほうが良いでしょう。

 

>>> DEEP-X300 Products page

>>> DX-FREE Products page

>>> DEEP-X100 LBO Products page

 

 

 

Q: ディープX300とDXフリー3.0の使い分けを教えてください。

 

A: この2つは似ていますが、DXフリーは潜行深度が1m浅いため、水深4mなら普通はディープX300を使います。ただ、ディープX300では刺さりすぎてしまうようなウィードに対しては、あえてDXフリー3.0を使ってウィードのトップを浅めに通すことがあります。DXフリー3.0はディープX300より少しだけウォブリングが強いのですが、浅めに通して深いところからバスを呼ぶときに、この動きの強さが効果的に働くようです。

 

 

 

 

Q: ディープX100 LBOのいいところは?

 

A: もともと使いやすかったオリジナルの動きを受け継いだうえにLBOⅡが入って飛距離が10%くらいアップした実感があり、さらに釣れるルアーになっています。ボディのサイズ感が今の琵琶湖にマッチしている点もお薦めする理由ですね。

 

 

 

● ウィード×ディープクランキングのキモ

Q: では改めて、ウィードエリアのクランキングのキモを教えてください。

 

A: ウィードに絡めることでバスを一点で誘ったり、それが外れた瞬間のリアクションバイトを演出したりすること。でもその前に、まずはウィードの隙間をきっちりトレース出来ていることが最重要。ほぐしたり、切ったりというのはその後のテクニックです。

 

 

Q: ほぐす際のコツはありますか?

 

A: ウィードに絡んだルアーは「ゆっくりほぐして食わせるか」、「ビシッと切ってリアクションで食わせるか」の2通りですが、いずれの場合もロッドの操作はグリップエンドに軽く手を添えて、両手で行うことをお薦めします。

 

ルアーがウィードに絡んだら、ロッドをあおって外す。ほぐすか、切るかはケースバイケース。

 

 

ほぐす際はグリップエンドに手を添えて両手で行うと良い。

 

 

Q: ウィードエリアのクランキングで理想的な展開は?

 

A: 手元までリトリーブしてきたクランクベイトのフックにウィードがまったく付いていない、またはごくわずかの付着のみで戻ってくるのがベストです。ディープクランキングをやり込んでいる人は、毎キャストほとんどウィードが残っていない「健全な状態」をキープできています。反対に、長いウィードを引きずったままルアーを回収するのはNGです。僕の経験ではこれがバスをスレさせる最大の要因であり、警戒して口を使わなくなってしまうことが多いと感じています。針に掛かったウィードは、どんな方法であれその場で外してしまうこと。これは非常に重要なポイントです。

 

戻ってきたルアーにウィードが付いていない状態が理想的。引きずったまま回収はNG。

 

 

Q: まさにその悪い例で、ルアーがウィードに絡んだことが分からず、気が付いたら藻のダンゴに…ということがよくあります。ウィードタッチをいち早く感じるにはどうしたらいいですか?

 

A: 感度のいいロッドとラインを使うことが何より重要です。巻物系にはスローな竿を使う方もいらっしゃると思いますが、僕は感度の悪い竿はディープクランクには適さないと思っているので、感度や張りといった要素はとくに重視しています。また、リトリーブ中のライン角度はロッドに対して90度が基本。ラインとロッドが直線に近くなるほどウィードタッチを感じにくくなります。あとは集中すること、場数を踏むことで防げるようになると思います。

 

感度を得るため、リトリーブ中はロッドとラインの角度を直角に保つのが基本。

 

 

Q: ルアーがウィードから外れたかどうかは、どうやって判断したら良いですか?

 

A: ほぐしたり、カットしたりという動作の際にティップがもたれたら、まだ外れていない状態。竿先にルアーのバイブレーションが伝わってきたらウィードが外れた合図です。バイブレーションを感じたら次の動作に移ってください。

 

ウィードが外れると竿先にバイブレーションが伝わってくる。

 

 

Q: 杉村さんはスナップを使わず直接ラインを結んでいましたが、そのほうが動きがいいとか、ウィードが絡みにくいということがあるのですか?

 

A: 今回はアイにスプリットリングが付いていたため直結しましたが、スプリットリングがなければスナップを使います。そこはとくにこだわっていません。ただ、リングとスナップを両方付けるとルアーの動きが変わってしまうため、どちらかひとつにしたほうが良いでしょう。ルアーの動きは常に意識して、まっすぐ泳いでいない場合はアイを調整してください。これも重要なポイントです。

 

アイを調整して泳ぎを修正。バランスが崩れていると潜行深度や泳ぎに支障が出る。

 

 

● ウィード×ディープクランキングのシーズナルパターン

Q: では最後に、季節別のパターンを順に教えてください。春はいつくらいからディープクランクが活躍しますか?

 

A: 琵琶湖の春先は水温も低くシビアな季節です。3月まではスイミングジグが良く、ディープクランクが本格的に釣れ始めるのは4月に入ってからです。この時期はウィードが少ないので、スタックしたらチャンス。丁寧に、丁寧にほぐすことが鉄則です。ほぐして、ほぐして、外れない場合はカットしてリトリーブを継続します。

 

 

Q: 水温が上がる初夏はガンガン攻めて良いですか?

 

A: 5月~6月はスポーニングでスーパーナイーブな状態です。この時はルアーをじっくり見せないと喰わないので、ワームを使っている感覚で丁寧にほぐしてください。ほぐした後もすぐには巻かず、そのまま浮かせてもいいくらい。あまり動かさず一点でバスを誘う感覚です。トントントン…と軽くロッドをあおって、ほぐしたあとに「ドン!」とくるのが最もよくあるバイトの出方です。

 

 

Q: スポーニング後はどのようなパターンが有効ですか?

 

A: アフターの回復期でハードルアーをガンガン喰いますよ、という状態になったら、ウィードから外すと同時にガンガン巻く。これが初夏から夏のセオリーです。ただし、夏の終わりから秋口になってギルが水面に山盛りに浮いている場合は、ほぐしたり切ったりした後に浮かせる、という使い方で口を使わせます。いわゆるギルパターンですね。その後、晩秋にかけては一年のうちでもディープクランキングが活躍する季節です。

 

 

Q: そしていよいよ冬へ。冬もディープクランクの釣りは有効ですか?

 

A: 冬はとにかく速巻き。低水温だからスローと思うかもしれませんが、一年で一番速く巻くのが冬です。ウィードにスタックした時も“ほぐす”という動作はせずに、ウィードを勢いよくカットして、ルアーを飛ばしてリアクションで喰わせます。カットした後もスーパー高速巻きで、いち早くボトムにガンガン当てていくイメージです。ちなみに僕が言う冬とは、水温が一桁台になる時期。最近はメタルバイブで対応することも多いですが、ディープクランクも有効です。

 

 

● 実釣では早々にミッションコンプリート

この取材は7月下旬の琵琶湖・南湖で決行。滋賀県の当日の最高気温は35.8℃、水温も午前7時で30℃を超えて「煮えた」状態。手堅く釣果を得るなら、取水塔などのシェードを「撃つ」釣りが確実と思われた。

 

 

 

そんななか、セオリー通り4mラインのウィードエリアにディープX300をトレースした杉村さんは、ケースバイケースで“ほぐし”と“カット”を使い分けてバスをキャッチ。早朝の短時間で複数のバイトを捉えて、ウィードエリア×ディープクランキングの効果を証明した。

 

 

 

水温が30℃を超える状況のなか、ディープX300でキャッチ。ルアーのカラーはシャンパンゴールド。

 

季節ごとに狙い方の違いはあれど、ウィードエリアのディープクランキングはほぼ年間を通して通用するテクニック。杉村さんのアドバイスを頭に入れて、ぜひビッグバスにチャレンジしてほしい。

 

 

 

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