オロチXXX(カイザ)ついにデビュー!! | Megabass-メガバス

オロチXXX(カイザ)ついにデビュー!!

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■どんなロッド?

XXXというのは、決して意味深なコードではない。メガバスの営業部いわく、3番目のデストロイヤーという識別コードに加え、プロダクト事業部いわく、ASL(金属)ファイバーの2軸(XX)が織り成すクロスファンクション(X)をXXXで表現したという。

ちなみに、彼らたちの読み方は、「カイザ」である。

意味深なコードではなかったが、ロッドの生産技術者にとっては、大いに意味の深さを感じさせる新たなテクノロジーがふんだんに注ぎ込まれているのは間違いない。

 

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これまでのバスロッドは、カーボングラファイト繊維をメインに作られ、カーボンの弾性率がもたらす特性を生かした設計となっていた。24T(トン)、30T,36T・・・なかには、オリジナル・デストロイヤーのように、40T以上もの高弾性カーボングラファイト繊維が使われる凶器もある。

だが、オロチXXX(カイザ)は、違う。

 

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もちろんシャフトのコア(芯部)、ベリー~ティップセクションにはカーボングラファイト繊維がその特性を現すものの、カイザは、ロッド全体におけるカーボンレイヤードを極端に減らし、それに代わって、トルクフルなグラスファイバーロッドに使われるMSR(マイクロスクリーム)をさらに極薄化・低レジン(糊の量が少ない)化した新たなMSRを採用し、それを線型断面が数ミクロンという金属繊維でX旋状にマイクロピッチで締め上げ、そこへやや線型断面の太い金属繊維で菱形状に締めていく、という新たなコンポジット技術が使われている。

これまでロッドの性格を決定づける要素の大半をカーボン繊維が担っていたのを、カイザでは、新たに「金属繊維が担う割合を高めている」のが特徴だ。

 

 

■金属繊維のKABTとは?

 

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こうして工法開発された「KABT(カブト)」とは、戦国時代の兜(かぶと)を彷彿させる、「強靭さ」が最大の売りだ。いうまでもなく、現時点で比重比較をすれば、カーボングラファイト繊維は、この世のロッド素材としては最も軽く、硬度の高い素材である。

一方で、カーボンはダイヤモンドと比類して揶揄されるように、ネバリに欠け、限界荷重に対する破損耐力をもたせるためには、幾層にもわたってレイヤー(重ね巻き)する必要がある。どんなに軽い紙のような素材でも、たくさん重ねて巻けば、先ほど備え付けたトイレットペーパーのようにずっしりと重くなる。特に、近代の低レジンカーボンは、糊(のり)が少なく、レジン層を薄くし軽さを求めた結果、ネバリ強さに欠け、瞬間的にかかるオーバーウエイトに対する耐力を上げるためには、厚巻せざるを得ないか、レイヤードの工夫によって解決しなければならない。

一方で、KABTで合成した金属繊維は、比重はカーボンよりも高いが、金属繊維ならではのカーボンを遥かに凌駕する耐性強度によって、芯を構成するカーボン繊維のレイヤー数を大きく減らすことが出来る。クラッシュしたら木っ端みじんに吹き飛ぶカーボンボディのF1マシンとは違い、ポルシェが今も高いボディ剛性を実現するために、量産車にはボディパネル素材に高張金属の鉄の板を使っているのは、至極合理的な素材採用方式である。

 

もちろん、かつてエボルジオンのDNAチタンがそうだったように、KABTの構造は、金属繊維そのものも幾層にもわたってレイヤーする必要がないものだ。結果、オーバーレイヤーしたピュアカーボングラファイトロッドと比較して、総重量は遜色なく軽く仕上げられ、なお、強度については同クラス(オロチX4)のカーボンロッドと比較した場合、およそ20%以上もの高い強度が得られるシャフトを作ることが出来る。

 

 

 

■カイザのダイナミクス&パフォーマンス。

カーボンは、カッターナイフでカットでき、サンドペーパーで簡単に削ることが出来る。

だが、KABTを構成する金属繊維は、カッターナイフでは安々とカットすることもできない。削るには粗目のヤスリが必要だ。それこそが、金属の持つ「ネバリ強さ」、つまり「強靭な耐性」である。

 

コア(芯部)の薄いカーボンファイバーがもたらすシャキっとしたフィールを金属繊維によって締め上げた表層部のネバリ強さは、「もっちり」とした投げやすさ、限界域まで躊躇なく曲げていけるトルクフルなパワーパフォーマンスを発揮する。モンスターをディープから最速で引き上げ、カバーから引き離すための、強大な「リフティングパワー」として体感することができるのだ。

なお、いままでのF3番手のロッドが出来なかったF4番、F5番の釣りに対応できる、「バーサタリティ」も、何本ものロッドを持ち歩けない岸釣りアングラーにとって魅力的な広域爆撃ツールになるはずだ。

 

 

 

 

■シャチョーの独断インプレッション。

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もしも、あなたが、1本で幅広い釣りを可能とするバスロッドを合理的に探しているのなら、間違いなく「買い」だ。このパフォーマンスにして2万円代というカイザのNEWテクノロジーには、円満な家庭を持つことになった若い開発社員達の理想が込められている。

 

だが、一人フィッシングの極みを目指す求道者や、家の財務大臣があなたの趣味を愛情深く理解し、釣りの支出をあなたに委ねてくれる理想的な環境を手にしていたら、選択肢はカイザではなく、同じ金属でもこちらは超高価な希少金属、「形状記憶チタンファイバー」を使った「エボルジオン」という選択肢がある。

 

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一方で、より一つのメソッドを深く探究していきたのなら、メガバスには、「オリジナル・デストロイヤー」というアングリング・エモーションをとことんたかぶらせてくれる、競技仕様の純グラファイトロッドが用意されている。

 

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総合的に考えてみても、現時点のカイザには、アイフォンがそうだったように、これからの可能性を広げていく、ベンチャーなツールだけがもたらすバージンテイストが備わっている。新しい素材で釣るバスは、これまでのバスとは違った新鮮なフィールになるだろう。

スーツを新調する、春なのだから。

 

>>> OROCHI XXX – Special Contents

 

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