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DIRECTORS INTERVIEW

開発はいつどのようにスタートしたのですか。

'07年の春ぐらいからです。カーボンの高騰はもとより、チタンをはじめとする希少金属が値上がりしていった。エヴォルジオン製作用のチタンプリプレグも大幅に高騰しただけでなく入手も困難になりはじめたころですね。多くの愛好者たちから、今後エヴォルジオンの生産はどうなるのかという問い合わせが殺到しました。しかしどんな状況になってもエヴォルジオンは作り続ける必要がありました。チタンコンポジットロッドを提唱してきた私としても、先行技術化してきたメガバスとしても生産を維持していく責任みたいなものがあったのです。チタンブランクスの製作は、ただでさえとんでもなく手間がかかるうえに素材高騰の波と戦いながら頑張ってきました。エヴォルジオン独特のロッドフィールを知ってしまって味わってしまった以上、あれに変わるロッドは出来ない。エヴォがもたらす唯一絶対のフィーリングと性能を絶やしてしまうことはできなかったんです。
たとえばスーパーグリフォン(F31/2-63XGti)やディアブロ(F51/2-68Fti)などは、
これしかないっていう独特な世界観があって、アクションも極めて稀な存在ですよね。

それはイオタもエスパーダも同じですね。これらのアイテムは、オンリーカーボングラファイトだけではぜったいに出来ないアクションですし、特異なフィーリングを持っています。だからこそこの希少金属(チタン)の特性を生かし、チタンの特性を必要とするブランクスのセクションを厳密に割り出して希少素材を大胆に活用しつづける。そんな新たな製法と素材採用効果が高くもたらされる効率化した設計理論が必要になった。今回のニューエヴォルジオンのプロジェクトでは、性能として必要なセクションにアジャストすべき素材を効果的に使用することで、わたしたちの本意ではない価格上昇率を低減化することに成功していると思う。ニューエヴォでは、そのためのブランクスの素材パッケージングを徹底的に見直し、いまから7年前にデビューしたエヴォルジオンをいま一度深く検証することで、少しのコスト上昇率で大幅な性能アップになる製法と設計にチャレンジしています。環境問題がいわれる現在は、7年前と違って資源を豊富に使いまくれる時代ではなくなりましたし、高価なチタンを使って作ってみたらよかった的な、実験作品であってはいけない。7年間も多くのアングラーに支持されて、メガバスとしても豊富なモニタリングが出来ているわけだから、新しいエヴォルジオンには理にかなった性能と機能と価値が求められる。これを実現するために超効率化設計にトライしました。
現在のメガバスには、グラファイト素材でトルクフルな
フィーリングを持つオロチ(ピークパフォーマンス)がありますが、
既存のエヴォルジオンユーザーは、やはりエヴォルジオンを求めてしまう(笑)。

それはオリジナルデストロイヤーも同じ。うれしいのはやはりメガバスのユーザーは私どもの製品とたいへん長くつきあっていただけるという感謝の気持ち。その分要求も厳しいし自分が選択した道具に対する愛情も深いです。道具をいっしょに育て上げていく、共に進化していこうという関係かもしれない。だから、新編成したニューエヴォの設計開発チームは、極少数の人員にしました。ヒトの数を増やしても竿の性能があがるわけではないし、目指す味が拡散して薄くなってしまう。かえって効率が落ちるし、感性も濁ってしまうのがイヤだったから、私の好きなようにトップダウンでやらせてもらった(笑)。もともとエヴォルジオンを発明したのは僕だし、僕が好きになれるアクションを最新のチタンコンポジット製法で表現できなければエヴォルジオンじゃなくなってしまうという。自分の中で「チタンを使ったロッドのフィーリングはこうあるべき」という、数値化できない感性のゆずれない部分がある。世界最高レベルで次世代のチタンロッドを誕生させるには、新しいエヴォの設計主幹もアクション確定者も主幹テスターも僕自身がしゃしゃり出ることでロッドを進化させることができる。当然、好みの味は変わらないし(笑)。

NEWエヴォルジオンは驚異的に軽いですね。具体的にはどのように進化したのでしょうか。

まず、チタンは様々な金属素材の中で圧倒的に軽い比重を持ちますが、カーボン繊維の比重と比べてしまうと重いという事実です。第一世代エヴォルジオン初期型は、チタンのファイバー径を太くし、チタンのバネ弾性フィールをアングラーが味わってもらうためには、とくに従来のフルタイタニウムシリーズの場合はティップヘヴィ傾向を覚悟しなければならなかった。そのバランスを改善するためにはバットセクションにはケブラー繊維を含めてレイヤードを増し、バット剛性を増しながらバットセクションの重量を増してバランス取りをする必要がありました。バランサーを含めてリアハンドルの重量もやや増して作る必要があったのです。ふんだんに素材を使うことができた素材乱開発の時代の設計だから、トータルバランスはこうやって調整できたし、とにかくチタンのバネフィーリングを思い切り味わえることを何よりも優先した、ある意味贅沢なつくりでしたね。だから先代エヴォルジオンを持っている方は、高価な素材が惜しげもなく使われているロッドとして大切に使っていただきたいですね。 NEWエヴォルジオンでは、チタンが必要なセクションはどこで、どのパートでチタンの能力を発揮させるべきかを厳密に検証して作っています。さらにチタンファイバーの単繊維径をより繊毛化して細くし、カーボンファイバー密度との配合バランスを徹底検証して作られています。さらに、NEWエヴォルジオンTiシリーズは、ティップヘビー化を避けるため、ティップ方向に行くにつれて比重の軽いカーボングラファイト繊維量が増していき、ティップ先端は100%グラファイトになる。ただしここで使用するグラファイトはパガーニ同様のピッチの細やかな、しなやかさが発揮できるマルチプレックス製法を導入しています。なお、チタンの特製を享受したいベリーからバット方向にかけて極細のタイタニウムファイバーがブランク内で密度が増していき、バットセクションについてはもはやケブラーのコンポジット・レイヤードを必要としないレベルの濃密なチタンコンポジットカーボンセクションへと変貌しています。これによって、ティップのウエイトは前作よりも劇的に軽量化され、ルアーコントロールやキャスト時にしなやかなダンピングを必要とするベリー部についてはチタン含有量が増加し、Gtiシリーズで見られた平織りのブレイデッドグラファイトが存在しない。バット部にも、前作では見られた黄色い繊維、ケブラー素材も存在しない。チタンファイバーとカーボングラファイトだけのシンプルなマルチプレックス(多弾性多積層)製法を用いたデュアルコンポジットシャフトとして開発したことで、チタンの上を覆っていた様々な鎧(レイヤード)をダイエットできた。シンプルイズベスト。でも、シンプルイズディフィカルト(笑)でもあって、実は、NEWエヴォルジオンは、各アイテム平均で前作よりもチタンファイバー使用量についてさらに増えているのです(笑)。しかし、こうした設計の効率化と7年間の経験から導き出した、チタン導入の効果的な作り方によってコストの上昇率を大幅に抑えることができました。NEWエヴォは、いままでのチタンのバネ弾力がもたらすしなやかなフィーリングに加えて、バット部のチタンコンポジットによる剛性が格段にあがったことで、いままでと同強度でブランクスの肉厚も若干減少できたから、チューブラーブランクスとしての感度も体感的に上がっています。加えてトータルバランスがいい。ティップが軽くなってより運動性能があがり、ルアーのコントローラビリティはオリデスなどのグラファイトロッドに迫るシャープなフィーリングを得ることになりました。新しいディアブロやイオタは、第一世代のエヴォルジオンオーナーさんが使ってもらえば、正常に進化したとすぐに判ってもらえるはずです。



 
たしかに、このフィーリングは別物になったというよりも、
同じフィーリングのロッドが取り回しやすくなった、格段に軽快になったという印象ですね。

エスパーダやスーパーグリフォンについてはさらにその性能を体感してもらえると思います。もともと軽快な竿でしたからね(笑)。ただし、わたしたちは決して性能面を争っているわけではなくて、アイティオーエンジニアリングから移籍したメガバスの新世代設計スタッフを含めて竿づくりの感性を徹底的に磨いていった結果、性能の引き上げになったのだと考えています。アメリカやヨーロッパでもエヴォルジオンのファンが着実に増加していて、よりグローバルに存在感を主張するためにも、日本人が持つ匠の感性についてエヴォルジオンを通じて発信していきたいと思っています。ブランクスには独特な薄膜の胡蝶燐粉仕上げを施し、日本人の心に刺さるようなわびさびも表現しました。第一世代のここには金属粒子によるジルコニアメタルフィニッシュを施した部分です。当然、今度の仕上げの方が塗料を構成する粉末の比重が軽い。まあ、たいしたことではないかもしれませんが(笑)。 グリップハンドルについても、ニューエヴォルジオンはコルクを採用し、よりナチュラルなロッドとして、わびさびのハイテクブランクスと組み上げたときの調和とロッド全体の風合いを考えました。ヘッドロッキングをはじめとする各パーツ精度もあがり、必要な部位に必要なクリアランスを確保したうえで、各セクションを組み上げる際に振動ロスが発生しない匠のハンドビルドを実践しているので、ルアー操作時やキャスト時のリニアリティも向上しています。ぜひフィールドで実際に釣りをして体感していただきたいところですね。

NEWエヴォルジオンのファーストデリバリーが、リミテッドエディションになる。

今度のエヴォルジオンの最初のブランクスは、僕が'86年にARMSを手掛けてから、77作目のロッドデザイン。また、初代エヴォルジオンをリリースしてから'08 年で7年が経ちました。ラッキーナンバー777なんです(笑)。これからもエヴォルジオンを作り続けていくという前向きな祈願を込めて、NEWエヴォルジオンのファーストデリバリーを特別限定仕様で製作します。「777リミテッド」です。前期のエヴォルジオンで好評だったECSベースのリールシートをチューニングしてメガバスならではの特別な仕上げ(ウィンクル塗装)とノンスリップ加工を施して作ります。ECSはもの凄く軽いのでNEWエヴォのブランクスにも当然マッチングします。これからのNEWエヴォルジオンのスタンダードモデルへと、お客様から7年もの間にわたり支持し続けていただいた前作エヴォルジオンとをつなぐ特別なモデルです。思いきり手が込んだつくりで、各機種1本は私が購入してフィールドで使いたいと思っています。まあ、かつてのイオタ同様に、自分用モデルとして欲しかったので1ケ月間だけ特別に製作しようと(笑)。以降のNEWエヴォルジオンについては、メガバスでロングタームテスト中だったACSリールシート(エヴォ仕様)で組み上げます。これには特別に凝った意匠的な塗装を施す計画はありません。ノンスリップラバーのチャコールカラーで仕上げます。メガバスでは長期のテストを経てACSの採用を決定し、NEWブランクスには、エルゴノミクスを重視したセッティングで組み上げます。いずれのバージョンも本筋のブランクスとグリップセクションにおける構造が最新設計ですから、NEWエヴォルジオンの素晴らしさをあますことなく体感していただけると自負しています。

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